わたしたちは今春に「New age unleashes Hemp」をテーマに植物繊維(Textile-hemp)が新しい時代にふさわしい素材が績み出されてきたことを発信しました。
ブランドのリソースは出来る限りオープンにするのがweavearthのお約束です。実際的な技術的なポイントを実際の工程とともに紹介したいと思います(日本初公開)。
以下専門的な内容になります。今回はDrawing(ドロウイング、中国語で「开条」)です。
(サムネイル写真はDrawing工場敷地に積み上げられていたヘンプ原料)
Drawing工場(Newage hemp最も重要な工程の一つ)
レッティングを終えた原料植物(カンナビスサティバ)は、ドロウイングのために専門工場へ運ばれてい行きます。訪問時は、ちょうどそれを運び込みが始まっていました。
(写真は原料植物を積んで一般道を運んでいるトラクター。2m越えの原料を横積みしています)
ドロウイングは、外皮(繊維部分)を中心核(日本では「おがら」または中国では「麻屑」英名「Hurd」と呼びます)を分離する工程です。
(写真はTetile-Exchange「Glowing hemp for the future」よりカンナビスサティバ(ヘンプ原料植物)の断面図。右図中央部分が「おがら(Hurd)」)
大きなイノベーションで覆された常識
私自身この工程が、どうやっても知りたいことでした。今回最も目視で確認したいひとつでした。
と言いますのも、ヘンプ素材にとって旧式紡績(綿紡績)方式とわたしたちの新紡績(リネン紡績)方式の差異が、クオリティの差になることが明白だからです。
これは、前紡(糸を績む前の段階の処理)から異なることになります。綿紡績は植物繊維を「綿(わた)」状に加工にしてコットンと同じように紡績します(なので毛羽っぽく、綿混糸が大半です)。
一方リネン紡績方式は、長い繊維のまま、それを「揃えながら」糸を生成していきます(梳毛紡績とも言えます)。ヘンプ素材植物から中心核に張り付いているこの長い繊維をそのまま・どのように取り出し、紡績工程に載せるのかが最大のカギになります。
(写真は整然と長い繊維が揃えられた状態のヘンプ原料。その後紡績されます)。
古来ヘンプを繊維化した歴史的な手法は、手で少しづつ丁寧に「剥がして」いました。手で剥すという作業は労働集約性が高く、人件費が多くかかることは想像でき、大量生産には不向きです。これを機械化したことが、最も大きな技術的な跳躍と言ってよいと思います。
Drawingマシンは総長25m程度の間、植物繊維をもみほぐして、外側を剥がしていくのではなく、中心核を「砕く」方法でした。砕いたものを吸収して分離をするという手法。想定外で、とても驚きました。その手があったのか!という感じです。
分離された外皮は、紡績用の繊維原料として紡績工場へ運ばれます。
中心核の部分は、別途の用途に使うために倉庫へ保管されて、糸紡績とは違う工場へ運ばれます。
(次回へ続く)