(写真は収穫前のヘンプ農場)
今回の黒竜江省のヘンプ農場と紡績を訪問することで、私たちが依拠する新時代ヘンプの原材料生産のプロセスの解像度が高まりました。前編はこちら
最も新しい繊維産業モデルとして
「リネン紡績方式でヘンプ績む」旧来型綿紡績方式からの新時代ヘンプ変革の始まりは、ここ黒龍江省青冈にあるKingdom社の農場開発と紡績工場の新設です。本格化して、まだ5年しか経っていません。
原料作物の農業から糸紡績まで一貫で生産ラインを組んでいるのは、繊維産業では”あり得ない”。このことに訪問時、考え至りました。
綿花は世界最貧国・地域で生産され、羊毛は主にオーストラリアから、レーヨンは世界各地の森林伐採から、化学繊維は石油産出国から、それぞれ世界各地の産業インフラ(紡績)のある地域へ輸出されます。これはグローバリズム資本が介在し、そこでは常に経済社会の底辺からの搾取を伴うものです。
地域農業が地域産業と一環で成長して世界へ発信している…そういった意味でも黒竜江省大麻紡績は最新の繊維産業モデルと感じます。地産地消だけではなく、自律分散しながら、ボトムから大きくグローバルに繋がっていく。このインタナショナリズムは、私たちの未来社会のように思えてきました。
農業研究と開発
農業試験場では、今でも品種改良に取り組み、今やもう第三世代まで到達。THC成分(マリファナの原料となる成分)は、0.3%未満に完全に封じ込めており、計測限界(もう測っても出てこないレベル)まで来ています。これは、世界的に見ても、最先端のカンナビスサティバの種苗開発と言えるでしょう。
(改良品種:金达3号 農業種苗開発研究所にて)
それは糸紡績のために原料繊維から、唯一”繊維および産業資材を取り出すために”改良を加えられていると考えられます。THC成分に対して躊躇なく除外していく方針は、産業用大麻(Industrial Hemp)産業の一つの方向性だと感じました。
またこの工場工程の様々な段階での品質管理の素晴らしさは、他の紡績工場とは比べられないレベルの高さです。
技術的な側面から見たときのポイントは「技術編」として別途にまとめることにします。近日公開いたします。
(大)