ロングファイバーヘンプの耐紫外線効果機能(その理由とは?)

ロングファイバーヘンプの耐紫外線効果機能(その理由とは?)

ヘンプは紫外線を遮る効果を有する実証された研究があります。実際にweavearthで使用しているオリジナル素材の商品も試験を通して、一部素材(ヘンプ100%ツイル素材コクーンパンツ使用のカーキグリーン:上記写真)は、遮蔽率99%でUPF50+を計測出来ました(UV性能では最高ランク)。

ではなぜヘンプ素材には、この性能が宿っているのでしょう。専門性が高い内容ですが、この性能を生み出している理由を簡単に分かり易く説明してみます。

1.繊維構造に多く含まれるリグニンの含有量

ヘンプには多くのリグニンを含むことが知られています。リグニンは、抗菌作用を有すだけでなく、280nm、230nm、210nmの波長で大きく紫外線を吸収する性質があります。

2.特殊な繊維構造(多孔質構造)

ヘンプの断面を見ると、多くの穴が重層的に存在していていることが分かります。多孔質構造と呼ばれています。写真は電子顕微鏡50μm(マイクロミリ=0.001ミリメートル)の繊維内部の様子。

糸を構成する最小単位の繊維質に、ルーメンと呼ばれる穴が管を束ねたのような構造的に形成しています。

この構造は、水分の出し入れを行うサーモスタット機能の原理を生み出すのと同時に、拡散反射(紫外線を分散させる)と多層屈折(紫外線の進入を曲げる)の効果を発揮させます。

この構造こそ、ヘンプの最大の特徴でり、化学繊維でも真似することが出来ません。

またこれが、天然由来の構造であり、紫外線防止効果が化学薬品に頼らず、全くのオーガニックで実現していることに驚きます。

わたしたちの依拠するロングファイバーヘンプは、この構造を出来るだけ壊さない丁寧に繊維を抽出しています。

一方で旧来のコットナイズドヘンプは、(残念ながら)脱ガム処理をするため、リグニンの排除(脱ガム工程は紡績効率を下げるリグニンを除去するために行います)、強アルカリ処理は多孔質構造の破壊をしてしまいます。

この紫外線防止効果は、織物設計も重要です。ガーゼ設計や淡色は効果が低い傾向にあり、製品デザインにマッチした素材設計が重要になります。この領域の研究は、まだまだこれから進める必要があるといえるでしょう。

出典(参照論文)

・ヘンプファイバーの構造特性と加工技術

Zhang Jianchun, Zhang Hua

( Institute of Quartermaster Equipment, General Logistics Department, Beijing 100082, China)

・ヘンプファイバーとその開発展望

倪 燕柯勤 

东华大学纺织学院,上海 2016202.宁波出入境检验检疫局,浙江 宁波 315012

(了)