「ヘンプとは?」Shift C記事の補足(Threadのまとめ)

「ヘンプとは?」Shift C記事の補足(Threadのまとめ)

「ヘンプとは?」ShiftCのロングリード。価値ある情報を取りまとめた記事です。この領域の専門家として、生地の各項目の補足をしていこうと思います。

shiftc.jp/2025…

ヘンプ(Hemp)とは何か?

簡単に言えば、マリファナ成分のないカンナビスのサティバ種(ヘンプの原料植物名称)から作られた繊維製マテリアルです。ですが、カンナビスには数百種類に及ぶ種があると言われています。

 研究段階なので、明確な情報はありませんが、遺伝子レベルでの調査では、原種は雲南省南部、またはネパールと北部インドにある…という報告が出てきています。分布は世界中に渡り、その土地土地で在来化(土地や気候に合わせている)したり、その土地に暮らす人々が品種改良を行って暮らしに役立ててきたことで多くの品種へ分岐して行ったと考えられます。

 また産業用ヘンプを「インダストリアルヘンプ」と総称するのに対して、ファッション製品で使う靭皮の部分由来の糸・生地をセグメントして「テキスタイルヘンプ」と呼ぶのが、英語圏のトレンドです。

THC(テトラヒドロカンナビノール)の含有量に基準は、0.3%未満が日本では採用されています。世界基準に準じていますが、非常に厳しい基準を設けています。

ですので0.3%を超えたら(例えば0.4%)、それはイコールマリファナの原料というわけではありません。明確な栽培管理基準として、最も厳しいラインを導入しているというのが実態です。

なぜ違法だった?

実は日本人に身近なヘンプの歴史日本の伝統については多くの情報がありますので言及はしませんが、日本だけの伝統ではないということを申し上げておきたいと思います。

 黒海の周辺域を活動域にしていた民族の一万年以上前の墓には、葬送にカンナビスサティバを使った形跡があり、その習俗は騎馬民族が東方域に運んでいる…という研究仮説があります。実際に北朝鮮から黒竜江省では、カンナビスサティバの古来からの産地と知られていますが、高句麗時代から大麻を葬送に使っており、現在でも大麻布は北朝鮮の文化に残っていて、多くの大麻布が今でも作られています。日本に残る大麻布文化も、そのような歴史的な文脈での視点を必要とすると、個人的には考えています。

 大麻の生産が衰退していくことと、大麻取締法との関係を言及されがちですが、この頃化学繊維の隆盛で、リネン国内産業も衰退します。リネンはその後国内生産を止めてしまいました。大麻布の生産の衰退は、同様の流れとして見る方が自然で。とくに大麻布生産には、靭皮繊維を取り出す工程の機械化が出来なかったことが大きかったのではないか…?と考えています。この靭皮繊維の抽出工程の工業化(英語ではDecorticationとよびます)は現代でも世界各地でのヘンプ産業化のボトルネックになっています。

健康や美容効果も?
“サステナ素材”として再注目のヘンプ
多岐にわたる産業領域で製品開発が進んでいます。

記事には書かれていませんが、 重要な産業域として、以下があります。

・3Dプリンターの材料(フィラメントテープ)
・バイオマス発電燃料用ペレット

前者は脱プラ時代の代替えとして、後者は本当の意味で「持続可能な木質材」としてのヘンプペレット。現在のバイオマス発電の燃料は間伐材と言われていますが、トレーサビリティが難しく問題を残しています。

リネンやオーガニックコットンとどう違う?
人気天然素材との徹底比較
リネンは現在気候変動の影響とウクライナ戦争の影響(ウクライナはフラックスの原産地のひとつ)で、栽培地域が減少してきています。冬蒔きリネン(Winter Linen)や、栽培地の開発(エジプトで復活)など、世界需要に対応できる栽培拡大工夫されていますが、追いつかないようです(世界的にリネンは人気素材になっています)。 つまるスケーラビリティに問題があるといえるでしょう。

オーガニックコットンを言及できる立場にはありませんが、無農薬・灌漑設備不要・莫大なバイオマス(1粒万倍)生産となるカンナビスサティバ栽培は、比較にならないほど優位にあります。また、栽培期間3カ月の間に、13.7トンのCO2を吸収します。これは熱帯雨林の吸収量に匹敵します。世界の多くのこの産業育成を目指し、栽培するミッションは、実は「気候危機」への意識にあります。

欧州政府が、グリーンディール政策の農業部門にカンナビスサティバサインバ栽培とヘンプ産業の振興を位置付けたのは、気候危機へのグリーントランスフォームの重要な産業という認識からです。

ブランドはなぜ今、ヘンプを選ぶのか?
これからのファッションとヘンプの可能性
言うまでもなく、オーガニックで栽培され環境負荷もなく、CO2を莫大に吸収します。

また土地を改良し、農薬を使わないことで小さな生き物のゆりかごととなって、地域の生態系の保護にも役立ちます。着心地は、ロングファイバーヘンプの登場で、柔らかさや肌触りは、格別のものになります。サーモスタット機能あるので、保湿性も高く、天然由来のUVカット性を有しています。

わたしたちweavearthのミッションは、この素材を広く届けて、本質的なサスティナブルファッションとリジェネレイティブファッションの選択肢を提供することです。私たちの成長は、カンナビスサティバを栽培する農家の支援となり、まだまだ投資が必要なヘンプ由来産業への側面支援となることを願っています。

(2025年6月18日Threadsまとめ)