こちらは一昨年2021年を100とした時に、リネン糸がどれだけ上がったかをシンプルな係数で表した表です。
今現在注目されているのは、今年23年のフランダース地域(Flaxの主産地)が、どのような収穫状況なのか?世界のリネンバイヤーは市場の動向に大きな影響を与える収穫量と品質に期待をしています。
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気温は季節平均を上回り降水量が少なかったフランダース地域。Flax栽培に大きなインパクトを与えています。今年はその天候不順に影響されて種蒔き期間が3月から5月中まで行なわれました(例年は4月中まで)。
その後の天候不順もあり農作業は順調とはいかなかったようです。
気になる収穫量は前年比でプラス2%が予想されます。総栽培面積は147,000ヘクタールに増加しました。
今後レッティング(畑に寝かして繊維を分解させる工程)を通して、約26〜36%の繊維量の減少が伴ってきますので、最終的に原料として確保出来る数量はまだ見えていません。
気候変動はFlax栽培に長期的に影響を及ぼすと見られ、栽培の中心時期(3月から7月)を見直す農業研究を始めています。そのための新品種が開発され、23年の今年は早蒔きで10,000〜11,000ヘクタールが準備されました。これで市場供給の拡大を図る事ができるか?期待されています。
2024年は早蒔き(冬に蒔くFlax)が拡大していく見込みですが、世界中の市場で拡大していく需要には追いつきません。農業生産性は緩やかに改善していくでしょう。ですが、まだまだ価格は上昇への圧力が強い傾向となっています。現在のFlax原料高値相場は、欧州でも「歴史的」と言われています。(了)
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価格を安定させることも重要ではありますがこのエンドマーケットとのコミュニケートが更に重要だと、欧州Flax栽培レポートは最後にまとめています。
世界的な気候変動への意識の高まりで、植物繊維素材が注目されています。また実際に猛暑が続く世界各地でリネン素材が求められるとうことは、容易に想像できます。この数年で需要と供給のバランスが多く傾き、供給が不足していることが定常化していると見ています。この市場バランスには、収穫量を上げる必要があるのですが、農業を基本にしているため簡単ではありません。
収穫された原料が、レッティング後スカッチングへ移行する9月。そして最終的にリネンと原料となるネット数量が判明する10月以降に注目が集まります。