写真はLiloop & Advanced Hemp New visual(金継ぎの様子)
今春リリースするリネンを循環するLiloop(リループ)今後の課題
weavearthの最後で最重要なピースLiloopは、捨てられていた産業廃材としてのリネンを再度糸へ紡績して循環のリングを整えることを目標にしているプロジェクトです。しかし、まだ課題は多く様々に残されています。
例えば、その一つが「異物の混入」です。
(写真は混入した生地耳のポリエステル糸。発見後は手で取り除きます)
廃材リネンを50%まで構成比まで高めたことで、想定外の「異物」が混入してくることが分かりました。
その異物の正体は、織物生産を安定させるために生地耳に使っている僅かなポリエステル糸(全体の0.1%以下)。これが入ることで、染色がその部分だけ出来ません。ほんの小さな小さな粒として白い部分が残ってしまうことになります(写真の事例の場合は赤色が残ります)
また生産された原料、時期、産地も異なり、仕上げ加工も様々なコンディションのリネン生地を反毛加工するため、染色後に様々に影響する場合があることが分かりました。
製品の最終仕上げに注意が必要なことも分かりました。それを看過するとネップやスラブは多く見える傾向も見受けられます。これは課題ではありますが、おそらく今までのノウハウで解決の糸口がありそうです。
Liloopは廃材リネン50%の混紡率での原糸を開発の末に採用しています。もしも構成比を落としていけば(例えば15%程度)、このリスクは軽減されていきます。けれども、リネンが生まれ変わる時に綿が85%まででは「コットン」のような風合いになります。この素材感で「リネンの循環」したと言える品質と言えるのか…?納得いくのかどうなんだろう…?疑問が残りました。そしてそれは「今後に渡って本当に必要な製品」となるか…?わたしたちにある原点の問いかけを繰り返していました。
(写真は廃材リネンの綿(わた)とコットンが混ざった撚糸前の原料)
Liloopのパーパス 循環型経済へのプロトタイプ
これら課題を解決して品質を向上させるには、加工前の徹底した「分別」が重要になってきます。循環型経済(サーキュラーエコノミー)を前提とした未来社会では製品が「修理しやすい」こと「分解しやすいこと」が必要不可欠です。ですが現段階では、この「分別」をどのように建てつけるのか…?が大きな課題だと考えられます。
また着用されるお客様のご理解も重要だと考えています。上記の現象は、全く着用に問題がありません。これをB品不良品の位置づけにすることは、衣料品の大量廃棄問題への解決に繋がるプロジェクトとはならないこと、それを丁寧にご説明しながら、私たちの理念をお伝えしていきたいと思います。
weavearthが思い描いているのは、陶器を金継ぎを施して継承してゆくようなイメージです。自然から頂いた恵みを、ありのままに受け継いで、長く愛用することに心を注ぐ。Liloopは、そういった心を宿した製品に成長してくれることを願っています。
(大)