Why Hemp? なぜ今ヘンプ素材なのか?(展示会で伺った質問についてのまとめ)

Why Hemp? なぜ今ヘンプ素材なのか?(展示会で伺った質問についてのまとめ)

東京の展示会を終えました。

多くの方々に直接お話して、試着もして頂いて、本当に幸せな3日間でした。ご来場頂きました皆様にお礼を申し上げます。

今回の展示会は、リネン廃材を循環させるLiloopと、また一歩前進したヘンプ素材のお洋服をご紹介するのが大きなテーマ。特にその豊かな素材感と環境性能について、多くの方々が関心を寄せて頂きました。以下、ご来場いただきました時に、お話をさせていただいたことを、まとめておきます。

新時代ヘンプ素材(NEW AGE HEMP)として私たちが訴求するのは、

1.幅広く大きな環境性能

2.自然由来の高い機能性

3.今までの麻素材を超えたサーフェイスと風合い

この3つのポイントです。3についてはご来場いただきました皆様には、直接触れていただき着用して頂き、その豊かさを伝えることが出来たように自負しています。

一方お話しましたが、多くの情報が存在し、皆さまの関心が高い1と2について、以下へまとめてみました(過去にもテキストとして複数ブログを残していますので、是非そちらもご覧ください)。

(写真はヘンプ素材の原料となるカンナビスサティバの栽培地・7月頃)

幅広く大きな環境性能

・栽培成長期に多くの二酸化炭素を吸収

これは多くのデータが存在しますが、欧州グリーンディール政策の基礎データによれば1ヘクタール辺り9~15トンとあります(北海道の農業研究では1ヘクタール82.9トンの実証データも存在します)。この違いは栽培環境に依るもので、どれだけの期間をどのような密度で栽培するか?で差異があると考えられます。いずれにせよ、大きな効果のあるカーボンネガティブの栽培農業と言えるでしょう。わたしたちが依拠するヘンプ紡績は13.5トン/haの吸収量と発表しています。

欧州グリーディール農業部門ヘンプ

・土壌改良(ファイトレメデーション)

土壌から重金属を取り除き、土壌を健康で豊かなものに戻す効果があります。これをファイトレメデーションと呼びます。痩せた土地、農業放棄地、栽培することが出来ない見放された土地(鉱物採掘跡など)などでも栽培が可能で、加えて再生をしてくれる植物です。

・石油由来マテリアルの代替え

種からは食用オイル、エネルギーマテリアルが、つぼみ部分は家畜飼料へ、内径(Hurd)部分は木質で建材や燃料へ使えます。表皮は、私たちがテキスタイルヘンプとして、お洋服づくりへ活用をしています。この収穫された植物は捨てるところはなく、多くの産業に、脱石油・脱プラスティックのためのオーガニックマテリアルを提供することが出来るのです。

・農薬や水資源を使わない

土地の健康を維持することと共に、バイオダイバーシティ=動植物の保護に貢献する役割もあります。農薬を使わないことで昆虫の住処となり、そこへ鳥たちが集まり、地域の生態共存圏を維持することできるということです。

自然由来の高い機能性

・抗菌性能(防臭性能)

ヘンプ素材には「リグニン」質が多く含まれ。抗菌作用があります。リグニンは竹の皮に代表される天然の抗菌効用です。

・呼吸する繊維

多孔質(多くの穴が空いている構造)を持っているので、余分な湿気を吸収したり吐き出したり、まるで呼吸をしているような繊維です。夏涼しく、冬温かい、天然由来の空調性能が存在します。

・UVカット性能

繊維の構造が多孔質であるため、UVを屈折させる効果があるとされています。この効果を一定にするには、生地設計を最適化する必要があります(例えばガーゼ設計では機能しません)。

 ・天然由来の強度

ヘンプは旧くは化学繊維が登場する前、最も強靭な繊維でした。様々な産業利用の中には、屋根の建材(藁ぶき屋根の強度を高める)、漁網や釣り糸まで作られてきたことが知られています。

 わたしどもの製品ユーザー様からは、お洋服を身にまとったり部屋のファブリックやクロスに使うと「整えられている」感覚があるとお伝えいただくことがあります。数値には表せないですが、古くから祭礼に使われていたヘンプには、まだ未知の性能があるかもしれません。これまで以上に、研究して理解を深めていきたいと思います。

 (大)

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