「持続可能性という点でヘンプはファッションの未来の生地だ」米国ファッション市場とヘンプの現在その②

「持続可能性という点でヘンプはファッションの未来の生地だ」米国ファッション市場とヘンプの現在その②

 

「ヘンプ:持続可能な未来を紡ぐファッションの素材」

持続可能性とファッションの未来を結びつけるなら、それは間違いなくヘンプである。かつての英文記事から、重要なポイントを抜粋してお届けしましょう。

 

なぜ、環境への貢献と経済的な効果をもたらすヘンプが、なおもファッション産業に普及しないのでしょうか?その理由とは…。

1910年から1920年にかけて、メキシコで発生した革命の暴力から逃れるため、多くのメキシコ人がアメリカへと避難しました。彼らが伴ってもたらしたものは、マリファナという社会的な消費でした。ところが、移民(不法移民を含む)に対する排斥感情が高まる中、禁酒主義者たちはメキシコ人を犯罪と社会悪化のスケープゴートとして、麻薬(マリファナ)と結びつけました。

・さらに、化学合成繊維の開発もヘンプの生産に大きな打撃を与えました。デュポンなどの企業は、ヘンプ産業を麻痺させる法律の制定を求め、1937年のマリファナ税法では、関税をヘンプ農家に課し、違法な品種の栽培を禁止しました。そしてマリファナの犯罪化がますます強調されるようになり、ついには1970年に制定された規制物質法によって、大麻(ヘンプを含む)の栽培が完全に禁止されることとなったのです。

このような経緯からも明らかなように、マリファナは20世紀において「底辺の麻薬」として描かれました。政府はその象徴として、不法移民や黒人コミュニティを抑圧するために、「マリファナ=違法」というイメージを利用したのです。この事実は、アメリカの人種差別問題と深く結びついていると言えるでしょう。

解説)いわゆる麻薬としてマリファナは20世紀にメキシコから入ってきます。「メキシコ人」など不法移民や黒人コミュニティを抑圧するツールとして、「マリファナ=違法」として当時の政府が利用したのです。これは米国の人種差別と深く関わります。

上述これらの詳しい経緯は、「真面目にマリファナの話をしよう」(佐久間裕美子著。文藝春秋社)に記述されています。https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163910741

また化学繊維企業(石油企業)と同様に、米国綿花組合も同様にロビイングしていた事実があります。すでに寡占していた衣料品原料市場を脅かすであろうヘンプ栽培産業の可能性を忌諱したと考えられます。

weavearthは、マリファナ(THC高含量)と産業用ヘンプを法律的に「切り分け」た上で、新しい農業産業両分野での活用するために、後者の産業用ヘンプ(THCが0.3%以下)として栽培を促進することを支持しています。

現時点、2020年代のヘンプの課題とは何でしょうか。その③へ続きます。

 

 

 

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