気候危機とヘンプ~なぜヘンプ素材が注目されるのか?欧州グリーディールから紐解きます~

気候危機とヘンプ~なぜヘンプ素材が注目されるのか?欧州グリーディールから紐解きます~

「これは、人々の幸福と健康を向上させ、次世代のため に健全な地球を守ることに役立つ、グリーンで包括的な移行の提案です」

(フランス・ティーマーマンス欧州委員会執行副委員長 2019年12月#EUGreenDealのプレスリリースより)

欧州委員会は2019年12月に「欧州グリーンディール」を発表しました。これは、
温室効果ガスの排出を実質ゼロにする気候中立を実現し、動植物の生息環境を守り、人や 地球の健康と経済を健康的に維持する欧州連合の成長戦略です。

エネルギー、建築、産業、モビリティ(移動)の主要分野に政治的なコミットメントを法律で義務化し、投資を喚起させようとしています。

この成長戦略の農業部門に「ヘンプ」のセクションがあります。
今後グリーンディールを実現するために、欧州各国の法整備と企業からのヘンプ栽培への投資を呼び掛けています。

そのセクションレポートには、ヘンプの活用効果として以下を上げています。

  • 炭素貯蔵: ヘンプは1ヘクタールで、若い森林が貯留する量と同程度の9~15トンのCO2を貯留するが、栽培にはわずか5カ月しか掛かりません。
  • 農耕での病気の悪循環を断ち切る : 輪作でヘンプを使用すると、病気の悪循環を断ち切ることができます。さらに、ヘンプ植物は成長が早く、遮光性があるため、雑草が生えにくくなります。
  • 土壌の浸食防止: 密集したヘンプの葉が自然の土壌被覆となり、水の損失を減らし、土壌浸食から保護します。ヘンプは発芽からわずか3週間で地表を覆います。
  • 生物多様性: 開花期は通常 7 月から 9 月の間に発生し、他の作物からの花粉生産の不足と一致します。また、鳥の隠れ家にもなり、ヘンプシードは動物の餌にもなります。
  • 殺虫剤の使用が少ない、またはまったくない: ヘンプは自然の捕食者がいないため害虫の影響を受けやすく、ほとんどの場合、殺虫剤、除草剤、殺菌剤の使用を避けることができます。

またヘンプからの産業振興分野として、繊維、食品(飼料)、建材、製紙を上げています。その中でも繊維は「持続可能なテキスタイル(ファッション素材原料)」を実現するために重要視されています。持続可能なテキスタイルとは、耐久性があり、再利用可能で修理可能、人権に配慮し、エネルギー効率が高いように設計された「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」に起用する素材ということです。

今後ヘンプの栽培から多くの産業が生み出され、次世代の主要産業素材として活用されるのは間違いなさそうです。日本国内でも、北海道ヘンプ協会が国内栽培を目指して、法改正(大麻取締法改正)を目指し、実現へ尽力されています。私たちweavearthのミッションは、ヘンプ由来のウェルビーイング製品を企画し、届けることだと考えています。

*サムネイルの写真はヘンプをレッティング(雨露に晒して繊維を分離する工程)している畑の様子です。

*出典:A European Green Deal 
https://ec.europa.eu/info/strategy/priorities-2019-2024/european-green-deal_en



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