デコボコした表面が特徴的なワッフル織物。タオルなどに使われる織物組織(蜂巣とも呼ばれます)は、見た目も可愛い、リネン素材でも人気のプロダクトです。
織物設計で表面積が大きいほど、繊維の容積も拡がりますので繊維の組成も多くなって、吸収性や保水性が向上します。タオルに使われるのは、そういった理由からです。
デザインの方向性
weavearthで、一般的に既に広く販売されているリネンワッフルタオルを、あらためて開発する必要があるのか…?当初は悩んでいました。実は市販のワッフルには、いくつかの設計アプローチがあり、価格も規格も様々。わたしたちが手掛けるのであれば、この領域で最上級のリネン素材を設計する方向で行うことにしました。それはベースになる糸づくりです。
撚糸を極める
weavearthの商品には、複数撚糸をベースにしているプロダクトが少なくありません。リネンもヘンプも単糸を複数で撚り合わせると強度が増しますので、丈夫で長持ちの基礎になります。このリネンワッフルタオルにも、その設計哲学を宿していますが、このプロダクトの場合「強度」に加えて、さらなる「吸水性」「保湿性」とリネン素材本来の「柔らかさ」の最大化を念頭に置きました。
結果、撚糸した糸を更に合わせて撚糸して、糸と糸の間の空間を多く取りながら、空気の部屋を作り、撚糸に撚糸を掛け合わせることで、単糸に掛かっている撚りも同時に解いていくアプローチで設計することにしました。
(写真はリネンワッフルタオルの拡大写真。多くの撚糸された糸で構成されていることが分かります)。
この設計自体は、わたしたちのオリジナルではありません。実は伝統的にリネンワッフル素材は、本来このような作り方をしています。現代では、「コストを優先する」ことが重視され、このような(ある意味)贅沢なデザインは用いられなくなりました。
最上の風合いのために出来ることを
また仕上げ方も、繊維を収縮させない化学的な処方を通さずに、繊維に負担をかけずに揉み上げるような仕上げをしています。そのことで、ゆっくりと経年変化していくようにしています。ですので、お洗濯すると少々縮みが大きいのですが、豊かな風合いはそのまま維持できる仕上がりになっています。
結果、触れていただくとお分かりいただけるのですが、重みのある外観でも、とても柔らかくふわふわで、意外と軽い印象になると思います。
お洗濯の仕方(お願い)
最後に一つ弱みをお伝えすると、「吸水性」「保水性」を最大化していますので、長期間にわたって濡れたままにしておくと、ごくまれに点のような極小のカビが付くことがあります。ですので、出来るだけ乾燥させておくことに心掛けてください(ワッフルタオルの場合、この対策のために天日干し推奨です)。
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