(サムネイルの写真はヘンプの表皮(=繊維になる部分)と苧殻(おがら=中心にある硬い幹)を分離した様子。Wikipediaより)
ヘンプの中心茎の外形は、大まかに表皮の繊維質と苧殻(おがら)に分かれます。多くの植物性繊維と同じく、はがされた表皮を分離して繊維を取り出し、糸へ紡績されていきます。リネンの茎は繊維質の束であるのに対して、ヘンプ硬い骨のような茎があることが、特有の特殊な構造といえます。
(写真は福井県の農家の納屋から見つかった精麻されたヘンプ)
日本だけでなく世界各地で紡がれた(績まれた)ヘンプ糸は、多くの場合、一定の期間収穫後そのまま放置し、野ざらしにされ繊維質を分離しやすくします。またお湯などを使って分離する方法もあります。この工程をリネンと同様にレッティングと呼んでいます。
日本の場合は、お湯を通して繊維を取り出す工程を「精麻(せいま)」と呼ばれています。精麻されたヘンプ糸は、艶やな黄金色に輝いています。
日本の場合は、お湯を通して繊維を取り出す工程を「精麻(せいま)」と呼ばれています。精麻されたヘンプ糸は、艶やな黄金色に輝いています。
分離されたヘンプ糸のミクロ単位での構造は、リネンと同様に「多孔質」になっています。多孔質とは、多くの穴が繊維に沿って繋がっている状態で、ストローが束になっている、または「レンコン」ようなイメージです。この構造が、保水性や保温性、UVカット性能の基礎になっていると考えられています。
その多孔質構造に、空気や水分(湿気)を取り込んで留めたり、時には排出したりして、ある意味「呼吸をする繊維」と言えるでしょう。そういった性能が着用環境や住環境を整えます。