EPRが繊維製品へ適用される必然
欧州ではEPR(Extended Producer Responsibility:拡大生産者責任)を繊維製品に課していく方針で欧州各国が法整備を進めています。
EPRは「製造者がその製品のライフサイクル全体、最初から最後(廃棄物の収集や処理を含む)まで責任を負うという環境視点の政策で、製品の環境に対する影響を抑えていくことを推進するためのものです。これを「大量生産・消費・廃棄」で駆動しているファッション産業に適用しようとする動きが始まりました。
(写真は中国黒竜江省の広大なヘンプ農場。欧州でも栽培が拡大しています)
私たちも現状認識は同じくしていると感じています。多くの一方通行の供給(販売)が、責任もなく消費され廃棄されるシステムとして存在する限りは、たとえ麻素材をはじめとする環境配慮の繊維を使った製品であっても、同じような結果を招き、悪循環から抜け出すことが出来ないでしょう。そこで「製造責任」を製造者に負わせるといったEPRは必然的に世界各地で議論されるようになると思います。それはサーキュラーエコノミーへの大きな布石になると思います。
Generational Ownershipの理念
ただ私たちのGenerational Ownershipは、製造者だけの問題として片付けてはいけないと考えています。「作る人・使う人」「売る人・買う人」の分断を超えたところで、環境からの収穫と人々の叡智として共に「モノを引き継ぐ」ことを試みたいのです。
「購入したのだから、後は勝手でしょっ」。わたしたちは、そのようには考えていません。人類は地球環境から、様々な形で「収穫」として「恵み」を与えられて生活してきました。本来は誰も自己所有が出来ないものを、暮らしを豊かにするために活用させていただいている…そう考えることは出来ないでしょうか?
今後EPRの考え方は止めてはいけませんし、拡がっていくと思います。ですが、そこに旧来の消費者ではない人物像が必要だと思っています。Generational Ownershipのコミュニティは、そういった人々の”巣箱”になればと思っています。
(大)