循環型繊維素材:LiLoop開発(再生糸を作る②)

循環型繊維素材:LiLoop開発(再生糸を作る②)

廃材を整える

LinenをLoop(循環)させるプロジェクト「Liloop(リループ)」の技術は、前回ご紹介した「反毛~混毛~紡績」工程の前に、下ごしらえの作業工程があります。

今回今まで捨てられていた廃材として循環へ投入を始めたのは、流通段階で発生している様々な廃棄生地が元原料です。これらは、作られた時期、用途、当時の発注されたお客様など、同じ出自の生地ではなく、したがって同じ仕上げ加工を施したものではありません(生地は風合いをお客様の意向に沿って、硬くしたり柔らかくしたりします)。言わば「お化粧」のような様々な加工薬品溶剤を使っている可能性がありますが、その加工レシピはどれも同じではない設定になっています。

(写真は集積されたリネン廃材)

品質を高める丁寧な仕事

そのような加工溶剤が混ざってしまうと、綿(わた)になったとしても、残留してしまって、不安定な品質が出来る可能性を残します。具体的には、その後に染色した場合に発色にムラが出来るっといったトラブルの原因になりかねません。

その対処のために、大長㈱さんで反毛前に全て生地を「洗う」工程を入れています。加工溶剤を落として、基本となる品質を一定に保つことが目的です。

アンティーク家具は、修理の際に全ての「ニス剤」を丁寧に剥がしているのと似ていると思います。いったん「元の状態に戻す」ことが重要です。効果がハッキリと見えてこない地味な作業ではあるのですが、品質のためには丁寧な下ごしらえの対応が肝要です。

 そういった加工場の技術者が工夫を重ねて生み出した「LiLoop」は、リネン混紡で最大の混用率である「リネン50%」まで引き上げて「オーガニックコットン50%」を加えたバランスで紡績することに成功しました。

 時代が要請する環境への気づきが、技術者たちが各分野で蓄えていた知恵を持ちより、新しい素材を循環型素材を生み出していく…それがLiloopの技術の本質にあるものです。

(大) 

 

 

 

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