リネンデイリークロス MoNote#005

リネンデイリークロス MoNote#005

欧州の伝統に学んで

パリのセレクトショップ「Merci」、老舗デパート「Le Bon Marche」。パリに行くと必ず立ち寄る方も多い、世界の誰もが憧れる名店には大きな「リネン」の売り場が設置されています。

(写真はMerciの素晴らしいリネン売り場の一部。2017年著者撮影)

リネンは古代エジプト文明(BC5000年頃)から産業化されました(エジプト文明とリネンは興味深いお話が盛りだくさん。あらためて書き記していきたいと思っています)。その後欧州に伝わり、近代から現代にかけてリネン産業の中心地はフランス・ベルギー・オランダで、現在に至る多くのリネン素材のカルチャーは、この地域で育まれたものです。

欧州では何世紀にもわたって村々で農作物と共にFlax(リネンの原料植物)を栽培、主に自分たちの生活に使うために、または特産品として糸から織物を作り製品化し、貴族階級から農民層まで広く使われてきました。フランスではリネンを自国を象徴する繊維として、今でも誇りをもって接しています。

現代でもリネン布はフランスの生活には欠かせません。キッチン、バス、テーブル、ベッドシーツなど基本的な生活布は今でも「リネン」が好まれるのです。

「Merci」には日常使いのリネン布が通年で販売されています。さまざまサイズ・色が店頭に常にあるという驚きと同時に、生地の風合いの豊かさに感激します。そこにはリネン素材への深い造詣を感じさせる哲学が宿っています。

 (写真はLe Bon Marcheのリネン売り場の一部。2017年著者撮影)

用途のためのデザイン

日本国内でも「リネンの布製品」は人気の商品。ですが…、その多くは欧州で好まれている生活布リネンとしてデザインされているとは思えません。日本で一般流通しているリネン生地の多くは「お洋服用途」でデザインされており、「発色の良さ」「色落ちしない」「縮まない」ために多くの化学薬剤処方を行っています。この化学処理は衣料商品用途としては物性志向の固定化は不可欠ではありますが、その結果「吸水性」「保湿性」「柔らかさ」「経年変化の豊かさ」を損ねてしまいます。

wavearthのリネンデイリークロスは、欧州伝統の生活布に基づいて、オールドスタイルの仕上げにしました。デイリークロス用途のためのデザインです。言い換えれば「発色の良さ」「色落ちしない」「縮まない」よりも、「吸水性」「保湿性」「柔らかさ」「経年変化の豊かさ」を優先することにしました。

実際に手に取って頂くとフワッとした素朴な風合いに感じられると思います。使い込むほどに、風合いを増すのが「リネン素材の本質」。それを最大化するのが、このリネンデイリークロスの設計哲学です。

また通常の織物よりも多く糸が使われているため密度が高く、しっかりとした設計にして強度を高め、上質感・高級感を備えています。使い始めると、どんどん柔らかくなり毎日変化して用途に馴染んできます。

さまざまな用途

リネンデイリークロスは、ハンカチより大判のサイズにしました。持ち歩きに邪魔にならない大きさと厚さ、重さを考えています。また、何かを包む(例えばお弁当)ことも出来て、スカーフやバンダナのように使う事も出来ます。使い方のアイデアは様々です。そして何よりも、抗菌性があり防臭性がある素材であり、吸水性が高く、お洗濯しても乾きが早いので、毎日でも使えます。なにより、みなさまの手元で様々なアイデアで使っていただく暮らしの布として、このリネンが末永く寄り添ってくれたら本当に嬉しいかぎりです。

 (大)

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