ヨーロッパに珈琲が伝わった時、その抽出にために身近なリネン布を使ったことが伝わっています。現在でもフランス料理店では、スープなどを濾す作業にリネン布を使われる事が知られています。リネン素材は天然由来の抗菌性能や速乾性を有してので、清潔なリネン布が身近な「濾す道具」として、使われてきた一つの大きな理由でしょう。
このリネンコーヒーフィルターは、そういった伝統的な用途からインスピレーションを受けて開発されました。
全体を構成しているのは、4つのパーツの異なるリネン素材
最も構成に重要なのは、ボディに使っていますリネンダブルガーゼ。ガーゼ(密度の少ない設計生地)を二重に織りあげる特殊な生地は、挽いた豆を優しく包み込み、お湯を含んだ時に豆の膨らみを邪魔しません。このダブルガーゼが最適だという事に判断が至るまで、何十種類のリネン生地をテストしましたが、この絶妙なバランスはこの素材以外にありませんでした。
底部をにはリネンキャンバス(しっかりした厚手の生地)を使いました。抽出の速度を抑制して、一定に保ち抽出の工程を最適化しています。
周辺部をぐるりと支えるのは衣料品で使っている薄地の生地をバイアステープにしています。縫製時に残ってくる残布を再活用しています。
持ち手のリネンテープが底部で、少し突起しています。これは使っていただく時に、抽出後に珈琲豆を排出するときの持ち手。熱くなったフィルター本体から離したところに少しつまめるようになっています。
形状は最新型の円錐形へ最適化してあります。
ネルドリップの味わいとペーパーの手軽さ
ではリネン100%のコーヒーフィルターで抽出した珈琲の味わいは、どういったものでしょう。感じ方には個人差があると思いますが、「ネルドリップの深く柔らかい味わい」を「ペーパーのような手軽さ」で楽しめる点だと思います。抽出工程の感覚はネルドリップに近いのですが、抽出後に豆を排出した後は水洗いしキッチンに陰干ししても、半日程度で乾いてしまいます(カビてしまう心配がありません)。
使えば使うほど成長する外観
リネンの生成り色(自然のままの色)をベースに構成されていますが、珈琲を淹れれば淹れるほど、珈琲色が移ってきます。収縮は発生しながらも、使い込むほどフィット感が生まれてきます。着こんだデニムが味わい深くなるように、経年変化を楽しみながら、愛着が生まれる…そういった身近な日用品になることを願っています。
末尾ではありますが、このプロダクトの共同開発に様々なご教授をいただきました Caffè micho代表・龍さんに深く感謝申し上げます。ありがとうございます。
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