ヘンプ素材の機能をダイレクトに
ヘンプ素材には「強度」「抗菌性」「防臭性」「UVカット性能」「保湿性」「速乾性」などの天然由来の性能が備わっています。それは繊維に含まれる成分と、繊維構造にあると研究されています(詳しくは別途でお話したいと思います)。
農業由来の繊維の中でヘンプ素材は最も丈夫だという事で、人類が活用した最も古い繊維と言われるヘンプは、長年「強度」が求められる道具に用いられました。代表的なのは漁業用の網や釣り糸です。戦前にはこの分野だけで産業組合が存在しました。国会図書館には「麻・雑繊維及製品船用品・漁網漁具公協定価格便覧」(昭和16年刊行)が残されています。
現代にヘンプ素材を用いる場合、どのような商品企画が良いのか?検討した時に、天然由来の機能性を最大限に生かす「マルチカバー」に行き着きました。どこでも気軽に使える万能布。シンプルな発想ではあるのですが、テーブルクロスにしたり、ソファーのカバーとしても、シーツにしても肌触りの良い丈夫な布は心地よいはずです。またアウトドアに持ち出して、野外でパーッと拡げて敷物に使っていただいても、上述の機能は使いやすく、いつまでも飽きずに暮らしに寄り添えると考えています。
生地規格を最適化
こういった(いわゆる)キャンバス生地には、シングルヤーン(単糸)を使うことが一般的です。もちろん、それで十分な強度はあるのですが、このマルチカバーの生地設計には、ツープライヤーン(双糸)を用いています。紡績糸は、単糸よりも単糸と単糸を撚り合わせた双糸のほうが強度が2倍以上に高まります。このマルチカバーはヘンプの双糸キャンバスなのです。
丈夫で長持ちを宿す
weavearthのモノづくり設計思想の基本は「丈夫で長持ち(durabilty and longevity)」。またヘンプの素材の価値を最大化することも念頭に置いています。双糸にするとコストが掛かりますが、一歩踏み込んで作り込みました。10年~20年と使い続けられるために最善の処方をしています。生活に寄り添い、世代を超えて使っていただけると確信しています。
いつもまでも忘れないために
この丈夫な「双糸のキャンバス規格」は2011年の震災の時に株式会社AKAIが独自で生産して避難所へ届け提供したした「リネンシーツ」が設計のルーツです。
http://www.linenkyoto.com/html/newpage.html?code=11
私たちが、あの時の共助の気持ちを忘れないように、この商品はリマインドの意味も込めています。
ヘンプマルチカバーが皆さんの手元で歳月を重ねていくときに、この共助を振り返り受け継がれていくのなら、とてもうれしいです。
(大)